学校保健統計調査から見る子供の視力。
平成28年度学校保健統計速報が公表! 子供の視力低下が止まらない!
文部科学省は、学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的として、学校保健統計調査を昭和23年度より毎年実施しています。平成28年12月22日、平成28年度の速報が発表されました。
幼稚園から高校まで裸眼視力が1.0未満の子どもは増加傾向で、その割合は、幼稚園 27.94%、小学校31.46%、中学校 54.63%、高等学校 65.98%となっており、前年度と比較すると、各学校段階において増加。過去最悪となっています。また、
「裸眼視力 0.3 未満の者」の割合は、
- 幼稚園 0.85%
- 小学校 8.62%
- 中学校 26.68%
- 高等学校 37.54%
となっており、前年度と比較すると、幼稚園で減少、小学校、中学校及び高等学校で増加しています。スマートフォンやテレビゲームが普及し、物を近くで見る習慣が身についたことが影響したと、考えられています。
裸眼視力0.1未満の者の推移
平成28年度学校保健統計速報より
裸眼視力0.1未満の者の割合推移
平成28年度学校保健統計速報より
裸眼視力1.0未満の者の、父母世代との比較
平成28年度学校保健統計速報より
近視になった……メガネやコンタクトをすればいい、と考えていませんか?
子供の視力が低下して、黒板の文字などがよく見えなくなると、メガネやコンタクトで矯正します。矯正することで、見えやすくなるのですが、ここで注意してほしいことがあります。矯正して見えやすくなっても、視力が低下した原因が改善されていないと、《さらに視力が低下》→《メガネやコンタクトの度を強くする》→《さらに視力が低下》→《さらにメガネやコンタクトの度を強くする》という悪循環に陥ることになりかねません。
子供の視力低下の原因は、なんですか?
- テレビを1日何時間も観ている。
- テレビゲームに夢中で、何時間も連続してゲームをやっている。
- SNSに夢中で、何時間もスマホを見ている。
(SNSとは…ソーシャル・ネットワーキングの略。ネットワーク上のコミュニケーション機能をもったサービス全般を指します。メール、掲示板、無料通話アプリ、ゲーム、画像投稿サービスなど) - 受験勉強で、何時間も休みなく勉強している。
人間の目は、野生時代の名残りで、本来遠くを見るようにできています。人間の目は、毛様体筋の働きで、カメラのレンズにあたる水晶体の厚みを厚くしたり薄くしたりして、ピントを合わせています。
遠くを見るときは、その毛様体筋がリラックスして扁平になり、水晶体の厚みを薄くなるように調節します。逆に近くを見るときは、その毛様体筋が緊張してふくらみ、水晶体の厚みを厚くなるように調節するのです。見る対象物の距離が近いほど、水晶体を厚くする必要があり、毛様体筋の緊張は強くなり、負担も大きくなるのです。
近い距離で長時間スマホを見ている間中、毛様体筋はめいっぱい働き続け、疲れて果ててしまいます。
通常、睡眠をとれば毛様体筋の疲れはとれます。ところが、長時間スマホを見ることを何日も続けると疲れが残って蓄積し、毛様体筋の緊張状態がとけなくなってきます。毛様体筋の緊張状態がとけなくなると、遠くを見るとき水晶体を薄くすることができず、遠くが「ぼやけてしまう」ことになります。近視になるということです。
いま、子供達の目は疲れています。子供たちを取り巻く環境は、近くを見ることだらけです。
テレビゲームやスマホを使うことが避けられないのなら、目の健康を守るためにも、「パソコンやスマホは1時間にらめっこしたら、10分くらい休ませる」が理想です。そして、できるなら目の緊張をほぐすために、「目のまばたき体操」や「目のぐるぐる体操」などの目の体操をすることです。私たちは毎日、歯を磨いています。それと同様に、目に疲労を感じたら、無理をしないで休ませ、「目の体操」をすることを日課にすることです。
メガネやコンタクトで矯正すれば、よく見えるようになりますが、裸眼視力がよくなったわけではありません。視力低下の原因を知り、低下を予防することが大切なのです。