スマホ利用が子供の視力低下を招く
スマホの普及で、子供たちの目が危ない
平日、1日2時間以上のスマホ利用者は中学生で約50%!
スマートフォン(スマホ)の国内普及率は、平成2015年度で64%。いまでは、70%は超えているはずです。10人中7人はスマホをもっているということです。スマホによるインターネット利用時間(2015年11月-12月)は、平日・1日2時間以上の利用者は、なんと小学生で約20%、中学生は約50%、高校生では70%程度というデータもあります。
子供から大人まで熱中する人が急増しているいっぽうで、“スマホ病”“スマートフォン症候群”“スマホ老眼”という言葉があるくらい、身体の不調を訴える人も増えています。とくに子供の視力低下は、深刻の度合いを深めています。なかでも幼い子供のスマートフォンなどのやり過ぎは、眼球や脳が未完成であることから、視力の低下だけではなく、弱視や斜視になる可能性もあるといわれています。
スマホ利用で学力が低下する、という調査結果が?!
スマホの普及が進む中、2015年11月に東京都で「SNS東京ルール」が策定されたのをご存知でしょうか?
都教育委員会が、都内全公立学校の児童・生徒が、いじめなどのトラブルや犯罪に巻き込まれないようにするとともに、学習への悪影響を防ぐため、SNSを利用する際のルールを定めたものです。(SNSとは…ソーシャル・ネットワーキングの略。ネットワーク上のコミュニケーション機能をもったサービス全般を指します。メール、掲示板、無料通話アプリ、ゲーム、画像投稿サービスなど)
SNS東京ルールには、5カ条があり、子供のスマホ利用で悩んでいる親にとって役立ちそうなので紹介します。
SNS東京ルール
- 一日の利用時間と終了時刻を決めて使おう。
- 自宅でスマホを使わない日をつくろう。
- 必ずフィルタリングを付けて利用しよう。
- 自分や他者の個人情報を載せないようにしよう。
- 送信前には、相手の気持ちを考えて読み返そう。
つまりルールでは、スマホの利用時間を抑えること、夜間の利用を控えることを提案。利用上でトラブルになりやすい個人情報の掲載やコミュニケーション上のトラブル、違法有害サイトへのアクセスなどを防ごうというものとなっているのです。
東京都がSNS東京ルールを決めた背景には、先に書いたようにスマホの普及による様々な問題があるようです。2014年度「インターネット・携帯電話利用に関する実態調査報告書(東京都教育委員会)」時点でも、小学生のスマートフォン・携帯電話の利用率はかなり高くなっており、小学3年生でも、約8割が自分のスマートフォン、家族のスマートフォン、携帯電話いずれかの端末が利用できる状況にあったのです。小学4年生では95%くらいが、小学5、6年では一人最低一台以上利用できる状態でした。
しかも、LINE等の無料通信アプリを長時間使用している子供ほど、学力が低いことが明らかになっています。仙台市標準学力検査の中学生の数学の平均点と平日1日あたりの通信アプリの使用時間との関係を調査したところ、「平日に30分未満しか勉強しない」生徒の場合、通信アプリを使わない生徒の数学の平均点は約61点であるのに対して、3時間以上使う生徒の数学の平均点は50点以下になっていることが分かっているのです。
また、平日1日あたりの通信アプリの使用時間の長さは、子供に与える影響力が非常に強く、勉強時間や睡眠時間に関係なく、直接的に成績を下げる方向に作用している(勉強時間や睡眠時間が少なくるために成績が落ちるのではない)恐れがあるというのです。
スマホによるインターネット使用で、高校生の28%が「目が悪くなった」と実感!
健康面でも、「インターネット・携帯電話利用に関する実態調査報告書(東京都教育庁)」(2015年3月)によると、
インターネット等の時間利用による健康面の変化(高校生)
- 目が悪くなった 28.0%
- 寝不足になんった 26.3%
- 夜なかなか眠れなくなった 13.2%
- 手や指が痛くなった 3.0%
となっており、視力に与える影響が大きいことがわかります。
では、スマホ利用の利用時間はどれくらいにしたほうがいいのでしょうか? SNS東京ルールのプロジェクトでは、スマホや携帯の使用時間は1日1時間以内にすることや、勉強中や睡眠中はスマホや携帯の電源OFFするといった家庭でのルール作りを提言しています。
しかし、どうでしょう? 小学低学年であれば、親が厳しく管理すれば、使用時間は1日1時間以内は可能でしようが、小学高学年、中学、高校と年齢が高くなるほど難しくなります。親が気がついた時には、スマホの影響で視力低下が進んでいて、メガネをかけないといけない状態になっていた、というケースも少なくないのです。
スマホなど一点を見ている作業をしていると、目の筋肉が凝り固まったり、運動不足状態になります。これにより目の周囲にある末梢循環が悪くなり、必要な栄養や酸素が行かなくなることで代謝が悪くなってしまうのです。そして視力低下が起こってはじめて、ことの重大さに気づくくことになります。
データ1. スマホ・携帯電話の利用率
データ2. スマホなどの使用時間と学力の関係
データ3. 情報機器の使用と睡眠時間の関係
データ4. 就寝時刻とイライラの関係
スマートフォン症候群」とは?
スマホの長時間の使用により生じる、肩こりや首のこり、腱鞘炎、眼精疲労、視力低下、ドライアイなどの症状の総称が『スマートフォン症候群』。こういった身体の直接的な不調だけでなく、「スマホがないと不安を感じる」など、『スマホ依存症』も問題になっています。
スマートフォン症候群の代表的な症状
肩こり
スマホを使用するときは、どうしても頭が下がりがち。この姿勢を長時間続けていると、首の後ろから肩にかけて筋肉が強張り、血流が悪化。肩こりの原因となります。
疲れ目・眼精疲労
長時間じっと画面を見つめていることでおきます。一晩ゆっくり睡眠を取っても目のかすみや痛みが治らない状態です。
スマホ肘
テニス肘やゴルフ肘と似たような、腕のしびれや肘の痛みを生じます。スマホを長時間、空中に保つために肘の筋肉を酷使することで起きる腱鞘炎。
スマホ巻き肩
スマホの使用で体が丸まり、頭を前に出すような形、つまり猫背になってしまことで起きます。肩こりの原因になるほか、放置すると片頭痛や目のかすみなどが出る場合も。
ドケルバン病
ドケルバン病とは「狭窄性腱鞘炎」という腱鞘炎の一種。手首の親指側の腱鞘に炎症が起こるもので、指を頻繁に使うことで起こる病気です。
うつ症状
重要な自律神経が集中する首を長時間圧迫することで、副交感神経の働きを阻害し、頭痛やめまい、全身のだるさや食欲不振、不眠などの症状を引き起こすことも。こういった状況が長く続くと精神的にも悪影響がでて、うつ症状を招くこともあります。